今週の本棚・新刊:『ほろにが菜時記』=塚本邦雄・著

(ウェッジ選書・1470円)

 「ほろにが菜時記」とはつまり、ほろにがい季節の味覚をテーマとした小随筆集である。新年の「屠蘇(とそ)」「小豆」にはじまり、春の「つくし」「蜆(しじみ)」、夏の「茗荷(みょうが)」「鮎(あゆ)」、秋の「菊」「無花果(いちじく)」、冬の「沢庵(たくあん)」「味噌(みそ)」、さらに雑(ぞう)の「エスプレッソ」などなど。学名、故事来歴から微妙な味覚、調理に至るまで、独自の美意識に貫かれたほろ苦い文章が冴(さ)える。「蓼(たで)食う虫、これがまた多士済々で、蓼小夜蛾(たでこやが)・蓼蚜虫(たでありまき)等数種いて、栽培蓼の大敵である。人間がスパイスに使う植物を常食にするとは、なかなか粋な虫、そのせいか、諺(ことわざ)にも、必ずしも軽侮の気持はこめられていない」(「蓼」)。古典和歌や自身の短歌作品や、詩歌の紹介も豊かで楽しい。著者は、博識で知られた前衛歌人である。(ゆ)

毎日新聞 2010年7月18日 東京朝刊

Collection

管理人が蒐集した初版本の一部をご紹介します。

01.装飾樂句
書肆アスタルテにて入手

02.日本人霊歌
落穂舎にて入手。葛原妙子宛て献呈署名入り。原文には葛原による書き込み多数あり。

03.水銀伝説
落穂舎にて購入 直筆短歌署名入り

04.緑色研究
書肆アスタルテにて入手 自筆歌1首・署名入り

05.感幻樂
書肆アスタルテにて入手

06.茴香變
書肆アスタルテにて入手

07.靑き菊の主題
書肆アスタルテにて入手

08.天變の書
書肆アスタルテにて入手

Biography

塚本邦雄の年譜


付記:年齢は数え年
参考文献:
現代詩手帳 塚本邦雄の宇宙 他