06.前衛短歌運動の中心的存在、塚本邦雄さん死去

前衛短歌運動の中心的存在で、戦後歌壇に強い光を放ち続けた塚本邦雄さんが、9日午後3時54分、呼吸不全のため死去した。84歳だった。

自宅は大阪府東大阪市南鴻池町。告別式の日取りは未定。喪主は長男で作家の青史氏。

滋賀県生まれ。前川佐美雄に師事し、1949年ごろから前衛的作品を作り始める。51年刊行の第1歌集「水葬物語」は、〈革命歌作詞家に凭(よ)りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ〉など、近代短歌の枠組みを覆し、三島由紀夫、中井英夫らに絶賛された。寺山修司、岡井隆氏らと共に前衛短歌運動を推進した。

独自の美意識を持つ絢爛たる作風は、聖書など古今東西の文学・文化への造詣の深さを背景とし、社会批判や終末感が色濃い。代表歌に〈日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも〉。

現代歌人協会賞、迢空賞、詩歌文学館賞、斎藤茂吉短歌文学賞などを受賞。85年から選歌誌「玲瓏」を主宰。89~99年に近畿大学教授を務め、92~99年に読売新聞で短歌月評を担当した。
(2005年6月10日3時13分 読売新聞)