08.前衛短歌の旗手、歌人の塚本邦雄さん死去

前衛短歌の旗手として戦後の短歌界に大きな影響を与えた歌人で、元近畿大学教授の塚本邦雄さんが9日、呼吸不全で死去した。84歳だった。通夜は12日午後6時、葬儀は13日午前11時30分、大阪府東大阪市荒本西1の18の2の東大阪玉泉院で。葬儀委員長は現代歌人協会理事長の篠弘さん。喪主は作家で長男の青史(せいし)さん。自宅は同市南鴻池町2の15の4。

滋賀県生まれ。戦後、貿易会社に勤めながら歌人の前川佐美雄に師事し、「日本歌人」に加わった。51年に第1歌集「水葬物語」を発表。反写実、社会風刺、言葉遊びの精神が若い世代に支持された。作家の三島由紀夫、中井英夫とも親交を深めた。

56年に第2歌集「装飾楽句」を刊行。岡井隆や寺山修司らの活躍と呼応し、前衛短歌運動を定着させた。

その後も実人生の哀歓を歌う近代短歌とは別の、修辞の美の世界を追究した作品を発表し続け、58年の第3歌集「日本人霊歌」で現代歌人協会賞を受賞した。「日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも」などの作品で、時代の様相を虚無的に歌い上げた。01年に「塚本邦雄全集」が完結した。

歌集はほかに中世の美学を志向した「感幻楽」や「詩歌変」(詩歌文学館賞)、「黄金律」(斎藤茂吉短歌文学賞)、「不変律」(迢空賞)など。全5巻の「茂吉秀歌」、「定家百首」などの評論や、小説「紺青のわかれ」もあり、文学活動は幅広かった。90年に紫綬褒章、93年には歌集「魔王」で現代短歌大賞。

朝日新聞
2005年06月10日11時06分