「短歌の開拓者」 塚本邦雄の世界

前衛短歌の旗手として戦後の短歌界に大きな影響を与えた歌人塚本邦雄の展示会「現代短歌の開拓者」が6月5日まで、北上市の日本現代詩歌文学館で開かれている。

2005年に亡くなった後、同館に寄贈された蔵書や手紙などの遺品約1万5千点から、自筆の原稿やノート、手紙、愛蔵品など約270点を展示している。

歌人でもある篠弘館長は「当館が偉業をしのぶ最初の機会を担いうることを誇らしく思う」。長男で作家の塚本青史さん(66)は「きちんと分類、整理してもらい感謝するしかない」と話した。

塚本邦雄は第2回詩歌文学館賞を受賞、1987年5月に贈賞式で北上市を訪れている。その後、寄稿するなど、館の活動に協力したという。2009年に青史さんから蔵書などが贈られ、館は「塚本邦雄コレクション」として整理、保存している。コレクションは図書約4100冊、雑誌3500冊、それ以外の特別資料約7千点。

展示会では、誕生から没後の専門家による研究まで6コーナーに分けて紹介。戦時中に執筆したというショートショート風の創作原稿もある。塚本宛ての寺山修司からのはがきや三島由紀夫からの手紙もあり、篠館長は三島と塚本と3人で食事した際、「三島氏の励ます哄笑(こうしょう)と、塚本氏の恥じらう表情の、いかにも対照的であったことが忘れられない」と説明する。

一般300円、大学・高校生200円。問い合わせは同館(0197・65・1728)へ。

(石井力)

2016年4月4日 朝日新聞